【青春18きっぷ】信越縦断ルートガイド!115系・二本木スイッチバックから幻の臨時快速

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取材:2014年7月

夏の陽光が,信越の青い山並みを強烈に照らし出していた。2014年7月,高校生の私は,ポケットに青春18きっぷを忍ばせ,直江津駅のホームに立っていた。どこまでも続く線路の先には,まだ見ぬ旅情と,かすかな冒険心が待っている。

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13時過ぎ,直江津駅から乗り込んだのは,どこか懐かしいモーター音を響かせる115系普通列車である。信越本線を行くこの国鉄型車両は,昭和の面影を色濃く残し,旅人の心を否応なしに高揚させる。冷房の風と,窓から吹き込む夏の匂いが混ざり合う車内。列車が動き出すと,車窓にはきらめく日本海が遠ざかり,次第に妙高の山々が迫ってきた。

妙高の険路に挑む「二本木駅」のスイッチバック

列車はやがて,山あいの静かな駅,二本木駅へと差し掛かる。この駅には,現代の鉄道では珍しくなった「スイッチバック」が今なお息づいている。険しい傾斜を克服するため,列車は一度本線から外れ,引き込み線へとバックで進入していく。

豆知識:スイッチバックとは?
急勾配の途中に駅を設ける際,列車が安全に発着できるよう,平坦な線路を本線から分岐させて設置した構造のことである。
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運転士が車内の通路を通り,反対側の運転台へと移動する。その一連の動作を,私は固唾をのんで見守っていた。ガタゴトと音を立てて後ろ向きに進む列車。窓の外では,夏の蝉時雨が容赦なく降り注いでいる。明治の先人たちが知恵を絞って敷設したこの鉄路の歴史が,高校生の私の胸に深く刻まれた瞬間であった。列車の入れ替えという,どこか儀式めいた時間を経て,115系は再び力強く坂を登り始めた。

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予期せぬ幸運と,夏の光に包まれた長野駅

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列車は坂を登りきり,14時半過ぎに長野駅へと滑り込んだ。信州の交通の要衝である長野駅は,多くの旅人で活気に満ちていた。本来であれば,ここから中央本線直通の「特急しなの」を見送る,あるいは別の各駅停車を待つ旅路になる予定であった。

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しかし,駅の案内板を目にした瞬間,私は胸の高鳴りを覚えた。大雨の影響により,この日は特急しなの号が終日運休となっていたのである。その救済措置として,臨時の快速列車が運行されるというアナウンスが響いていた。

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時刻は15時ちょうど。ホームに入線してきたのは,ステンレスの車体に青い色の帯をまとった211系。予期せぬ形で出会った「幻の臨時快速」である。時刻表には載っていない,その日限りの列車に乗り込むという高揚感は,青春18きっぷの旅における最高の贅沢と言えた。

篠ノ井線を南下,夕暮れの松本盆地へ

15時に長野駅を発車した臨時快速211系は,快晴の空の下,篠ノ井線を南へと突き進む。車窓の右側には,日本三大車窓の一つとして名高い姨捨(おばすて)付近の絶景が広がっていた。眼下に広がる善光寺平は,まるで緑の絨毯を敷き詰めたかのように美しく,夏の強い日差しを浴びて輝いている。

列車が山を越え,松本盆地へと差し掛かる頃,時計の針は17時を回ろうとしていた。あんなに高かった太陽が,ゆっくりと北アルプスの稜線の向こうへと傾き始めている。車内に差し込む光は,いつしか黄金色を帯び,私の影を長く引き延ばしていた。

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17時前,列車は終着の松本駅に到着した。改札を出ると,夕方の涼しい風が火照った肌を優しく撫でる。直江津からのわずか数時間。しかし,115系の震え、二本木での静寂、そして211系臨時快速の疾走は,高校生の私にとって,永遠に色褪せない夏の記憶となったのである。

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