【青春18きっぷ】旧北陸本線の旅!413系で行く富山〜直江津,秘境・筒石駅と日本海の絶景ルート完全ガイド

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取材:2014年7月

はじめに:青い海と国鉄型電車が呼んでいる

高校生の夏休みは,どうしてこれほどまでに短く,そして眩しいのだろうか。ポケットに押し込んだ「青春18きっぷ」を改札で印籠のようにかざし,私は午前9時30分,活気に満ちた富山駅のホームに立っていた。

目指すは新潟県の直江津駅。2015年春の北陸新幹線開業を控え,この「北陸本線」が第三セクターへ移管される前の,おそらく最後になるであろう夏の旅だ。

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ホームに滑り込んできたのは,白い車体に青い帯の413系普通列車である。急行型譲りの重厚なモーター音と,どこか懐かしい油の匂い。自動扉が開くと同時に車内へ歩を進め,私は迷わず進行方向左側,つまり海側のボックスシートに陣取った。定刻,列車はガタゴトと音を立てて走り出す。

富山平野を駆ける:車窓に広がる新旧のコントラスト

富山駅を出発してしばらくは,車窓が目まぐるしく変化する。
左手を見れば,魚津の街並みの向こうにミラージュランドの観覧車が小さく見え,旅情を誘う。目を凝らせば,地元の足として親しまれている富山地方鉄道のレトロな車両が,こちらの国鉄型電車と競うように並走していた。地元に親しまれている駅をいくつか過ぎるたび,日常から切り離されていくような心地よい錯覚に陥る。

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しかし,ふと右手の山側に目を転じると,そこには不自然なほど白く,真新しいコンクリートの高架橋がどこまでも伸びていた。北陸新幹線のルートだ。

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「あの上を,もうすぐ最新鋭の列車が通り過ぎていく。この古いボックスシートからの景色は,あとどれくらい残されているのだろうか」

そんな一抹の寂しさを覚えながらも,快晴の空から降り注ぐ夏の太陽が,車内を容赦なく,しかし温かく照らし出していた。

親不知の難所:海の上を走る高速道路

列車が糸魚川を過ぎると,北陸本線最大の難所であり,同時に最大のハイライトでもある「親不知(おやしらず)」へと差し掛かる。
断崖絶壁が日本海へと落ち込むこの地は,かつて旅人が波打ち際を命がけで駆け抜けた場所だ。

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現在の列車は頑丈なトンネルをいくつも潜り抜けていくが,一瞬の合間に広がる車窓は圧巻の一言に尽きる。
青く澄み切った日本海。その波打ち際,まさに海の上を突き抜けるようにして,北陸自動車道の高架橋が巨大な龍のごとく這っている。近代土木技術の結晶が,荒々しい自然と調和する不思議な光景。高校生の私にとって,そのスケールの大きさは息をのむほどの衝撃だった。

闇の中に眠る秘境:筒石駅での途中下車

11時過ぎ,列車は目的の駅に到着した。アナウンスとともにブレーキが軋み,冷たい風が車内に流れ込んでくる。そこは,地上の光が一切届かない闇の中――トンネル駅として名高い「筒石(つついし)駅」である。

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ホームに降り立つと,列車は轟音を残して闇の向こうへと消えていった。後に残されたのは,ひんやりとした静寂と,絶え間なく響く地下水の水音だけだ。気温は地上より遥かに低く,まるでタイムカプセルの中に迷い込んだような錯覚を覚える。

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地上への出口を目指し,私は約300段もの薄暗いコンクリートの階段を上り始めた。一歩進むごとに,湿った空気が体にまとわりつく。高校生の有り余る体力をもってしても,息が切れるほどの要塞感だ。

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ようやくたどり着いた地上改札で駅員さんに18きっぷを見せ,外へ出ると,正午前の強烈な日差しが網膜を刺した。
駅の周辺は,時間の流れが止まったかのような静かな漁村である。海岸線へと歩を進めると,迫り来る山々が削られた見事な地層が露出していた。大地の営み,そして潮の香りに包まれた静謐な集落。ただ波の音だけが響く贅沢な空間を,私は汗を拭いながらゆっくりと散歩した。

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旅の終わり:直江津駅へ向かう至福のひととき

再び筒石駅の地下へと潜り,12時台の直江津行き列車に乗車する。
冷房の効いた車内に戻ると,心地よい疲労感が全身を包み込んだ。窓の外には,再び夏の日本海がどこまでも青く広がっている。

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13時ちょうど。列車は終点,直江津駅の広い構内へと滑り込んだ。
富山から約3時間半。距離にすれば決して長くはないが,国鉄型電車の揺れに身を任せ,大自然の難所を越え,地下の秘境駅を冒険したこの旅は,私の記憶に深く刻まれることになった。

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新幹線が開業すれば,このルートを巡る旅の形も大きく変わるだろう。だからこそ,413系のボックスシートで過ごした2014年夏のこの時間は,何物にも代えがたい青春の1ページなのだ。

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