本ページはプロモーションが含まれています
取材:2014年7月
夏の強い日差しが,線路のバラストを白く焼き焦がす。夏休み。私は青春18きっぷを握り締め,北陸の地に立っていた。
新幹線の開業を翌年に控え,変わりゆく熱気に包まれた富山の街。そこには,日本最先端の「コンパクトシティ」を目指す,美しき路面電車の姿があった。高岡から富山へ,そして新時代のトラムを巡る,ある夏の日の記録である。
始まりは高岡駅,伝説の寝台特急との邂逅
旅の始まりは高岡駅である。新幹線開業を控えた街はどこか慌ただしく,同時に一つの時代が終わる寂しさを湛えていた。
14時過ぎ,ホームに独特の重低音が響く。大阪発札幌行きの寝台特急「トワイライトエクスプレス」の滑り込みであった。深緑に黄色の帯を纏った優雅な車体は,北の大地への長い旅路の途上にある。食堂車「ダイナープレヤデス」の窓越しに見える白いテーブルクロスが,高校生の私には酷く大人びて,眩しく映った。
やがて,重厚なホイッスルを残して列車はゆっくりと北へ向かって動き出す。その長い尾を引くような去り際を見送った後、私は後を追うように普通列車へと乗り込んだ。
富山駅到着,そして「南北」の路面電車へ
521系電車に揺られること約20分,富山駅に到着する。高架化工事が急ピッチで進む駅舎は,未来への期待感に満ちていた。
まず向かったのは,富山駅北電停である。ここから発着するのは,2006年に誕生した日本初の本格的LRT(次世代型路面電車)「富山ライトレール(ポートラム)」だ。
※2014年現在のミニ知識
現在,富山の路面電車は駅の「北」と「南」で分断されている。北側をこの富山ライトレールが,南側を富山地方鉄道(地鉄)が運行しており,将来的にこれらを高架下で接続する大プロジェクトが進行中である。
白を基調としたスタイリッシュな低床車両が,静かにホームへ滑り込んでくる。未来の乗り物が,すでにここには日常として溶け込んでいる。その洗練された姿を心に刻み,私は駅の南側、富山駅前電停へと足を向けた。
富山環状線(セントラム)で巡る,過去と未来の1周
15時。富山駅前からお目当ての「富山環状線(3系統)」に乗り込む。2009年に開業したこの路線は,反時計回りの一方通行で中心街をぐるりと巡る。
車両は「セントラム」の愛称を持つデ9000形。漆黒のボディが夏の強烈な西日を浴びて,鏡のように街並みを映し出している。
車内は大きな窓が広がり,まるで動く特等席のようだ。モーター音は静かで,滑るように滑走していく。国際会議場前を過ぎると,左手の車窓に鮮やかな緑が広がり,その向こうに白亜の天守閣が姿を現した。「富山城」である。
かつて富山藩前田家の居城であった富山城。その歴史ある石垣と,水面に映るお堀の風景のすぐ脇を,最先端の黒いトラムが走り抜けていく。歴史と未来が交差する,この街を象徴する一瞬であった。
大手モール、グランドプラザ前と,近代的に再開発されたお洒落な街並みを通り抜ける。車内には買い出し帰りの買い物客や,私のような旅行者が乗り合わせ,心地よいローカルな空気が流れていた。
旅の終わり,夕暮れに染まる富山の街
約30分後,環状線を1周したセントラムは,再び富山駅前に戻ってきた。
歩行者と車,そして路面電車が美しく共存する街。高校生の私にとって,それは教科書で見る「理想の都市」そのものであった。
再び駅へと歩を進める。西に傾きかけた太陽が,立山連峰の稜線をうっすらとオレンジ色に染め始めていた。近いうちに,この南北の線路は繋がり,一本の未来へと変わるのだろう。
変わりゆくものと,変わらない歴史。富山の路面電車は,その両方を乗せて,今日も静かに走り続けている。
旅に役立つおすすめアイテム&サービス
今回の旅をより深く楽しむための,おすすめガイドブックや鉄道グッズ、宿泊情報です。ぜひチェックしてみてください。
富山の魅力を再発見する一冊
るるぶ富山 立山 黒部 五箇山 白川郷’26 (るるぶ情報版) [ JTBパブリッシング 旅行ガイドブック 編集部 ] 価格:1375円 |
鉄道ファン必見の資料・グッズ
価格:6480円 |
【中古】【非常に良い】鉄道コレクション セントラム シルバー デ9002 価格:19999円 |
富山観光の拠点に最適なホテル予約







コメント